そんな中で見つけたのがあるバーの仕事で、お酒作ったり料理運んだり、ウェイターみたいなことするのかな~なんて思いながら面接に行ったら、白いスーツを着た金髪のおじさんが出てきて「明日から来れるか?」って。
すぐに決まっちゃった。
それで働いてみたら、仕事の内容がテーブルについてお客さんと話をする、ちょっとホストっぽい感じの接客業だったんだよね。
でも、お酒も好きだったし続けているうちに段々楽しくなってきたりして。
しかも、そのお店にはショータイムがあって、時間になると接客していた男の子達がステージの上に登ってコントやったり、ダンスをしたり…しっかり稽古する時間もないから、閉店後に酔っ払ったまま段取りを練習したりして、とにかく流されるままにやってた感じかな。
ショーのゲストにものまねタレントさんも来ていてマイケル・ジャクソンのものまねをやってたんだけど、なぜかそのタレントさんのバックダンサーをやることになって、営業でクラブや海の家なんかを一緒に回ってたね。
その頃からお客さんの前で何かを発表して喜んでもらうとか、ステージで得られる達成感っていいなって思いはじめたかな。
そしたらある日、そのものまねタレントさんが「知り合いの劇団が出演者を募集してるんだけど、出てみないか?」って声を掛けてくれて…勢いでその劇団の舞台に出ることになって。
それまで舞台のことを何も知らなかったんだけど、稽古を重ねていくうちに当初予定していたものよりだいぶセリフも増やしてもらえて、最後にはそこそこ良い役に付けてもらえたんだよね。
公演中はお店のお客さんも観に来てくれたり、とにかく楽しかったね。
初舞台が終わったときの感動は今も鮮明に覚えてるよ。
それから何度か出演させてもらって、気がついたらなんとなく劇団員になっていたという(笑)
始めはそんなきっかけで始めた芝居の世界だったけど…いざ、やり始めてみたら「もっと上手くなりたい!」って欲が出てきたんだよね。
でも、みんなは十代の頃から役者になりたくて訓練してきてるのに、自分はすこし遅めのスタートだし、何の基礎も出来ていない。
それでも追い着くためには、とにかくいっぱい演じるしかない!と思って、年に7、8本とかのペースで出演したね。